円高対策 ヘッジあり投資信託(米国株編)
超円安と言われていましたが、一転して円高傾向が進んでいます。ドル円は円安から円高方向に大きく方向転換しました。
円高と、その投資信託への影響、対策としての「ヘッジあり」の投資信託に関して書いていきます。
私の考えている投資信託についても、具体的に紹介します。今回は、米国株の投資信託について具体例を示します。
円安から円高に向かうのは本当か
ドル円の為替で考えていきます。円安か円高かに大きな影響を与えるのは、米国と日本の金利差です。
①米国金利 ー 日本金利の差が 拡大 ⇒ 円安へ動く
②米国金利 ー 日本金利の差が 縮小 ⇒ 円高へ動く
ニュースや記事では金利とだけ書かれている事が多いです。厳密にいえば、政策金利、短期金利、長期金利と種類がいろいろあります。いづれも為替には影響をしますし、それぞれの金利も影響を及ぼしあいます。私は為替の影響を見ていくのは長期金利と考えています。私は10年の長期金利を見ていますが、政策金利の動きも見ておくことは重要です。
足元の状況は、米国では政策金利の上昇カーブにはブレーキがかかり5月で引き上げ終了と予想されています。政策金利の頭打ちと景気の後退感から長期金利は下落していくと考えられています。
一方、日本の金利は、12月20日にが日銀黒田総裁が、長期金利許容変動幅を0.25%から0.5%へ拡大しましたので金利上昇していく方向です。
よって、米国金利マイナス日本金利の差は縮小の方向(上記②)で、今後は円高方向へ向かっていくと思います。
円安、円高は、長期のトレンドを作る傾向があります。エイヤのイメージでは、5年前後は続くように思っています。米国の金利が大きな影響を及ぼしますので、米国の金融サイクル(政策金利の上昇と下落サイクル)と同程度の期間と考えられるからです。
ドル円のチャートはweb上に沢山ありますので、ドル円のチャートを確認してみると、過去も1~2年でトレンドが変わるような話ではなかったのがよくわかります。
為替の投資信託への影響
海外の株式、債券、REIT等に投資している日本の投資信託について、理解しておくべき為替の重要な影響は、次の二点だと思います。
①海外株や債券の投資信託は円高で資産が減っていく。(為替差損)
②完全に円高局面になったら、強い円で買っていき、次の円安で利益を拡大する。(為替差益)
今は、円安から円高への転換点ですから、①を考えていかないといけません。②を考えるのは、まだ少し先だと思います。
①で示した為替差損を分かりやすい例で考えてみたいと思います。(わかりやくするために、手数料、管理費用などは、無しとして示しています)
・為替は円安局面(1ドル=150円)
↓
・米国株ファンド1口1ドルを日本の投資信託で1500円購入 1ドル=150円なので、10口購入して保有
↓
・円高局面に移行($1=100円)
↓
・保有していた10口を売却(米国株ファンドは1口1ドルで変化なしとする)。10口ですので10ドルで売れますが、円高なので日本円に交換すると、1ドル=100円ですから、1000円になりました。
↓
・円安局面で1500円で買ったのに、円高局面で1000円しか入ってこずに、500円の損が出ます。
このような円高局面での為替差損を避けるのが、次に説明する「為替ヘッジあり」の投資信託です。
「為替ヘッジあり」の投資信託
投資信託で、名前の最後に(為替ヘッジあり)と書かれているのが、為替差損対策をしている投資信託です。また、投資信託によっては、(為替ヘッジあり)と(為替ヘッジなし)が選択できる物もあります。
その仕組みは、投資信託が保有する資産に関して、為替予約を行って、実際の為替が変動しても、為替が変動しなかったようにするという事です。為替予約の詳細の仕組みを、個人投資家が理解する必要はないと思います。大事なのは、円高局面での為替差損を防いでくれるのが、「為替ヘッジあり」の投資信託なのだと知っていれば良いと思います。
それなら、ゴチャゴチャ悩まずに、海外の株式や債券等の投資信託は、すべて「為替ヘッジあり」にすればいいじゃない・・・と思われるかもしれませんが、そういうわけではありません。「為替ヘッジあり」にもメリットだけでなく、デメリットもあるのです。
「為替ヘッジあり」投資信託のメリットとデメリット
繰り返しになりますが、メリットは、海外の株式や債券等の投資信託の場合、資産額は海外通貨(米国ならドル)で計算されるので、円高になれば円換算した時に資産が減ってしまいます。このリスクを回避できるのがメリットです。
デメリットとしては、二つあります。
①ヘッジコストがかかる。
②円安局面で、為替差益を享受できない。
ですから、円高局面へ動きの中では「為替ヘッジあり」をポートフォリオの中で増やして、円安局面への動きの中では「為替ヘッジなし」をポートフォリオの中で増やす入れ替えが大事だと思います。
先にも書きましただ、円高と円安の局面は数年のスパンで動きますので、ポートフォリオの入れ替えはしやすいと思います。
ヘッジコストがわかりにくい
ヘッジコストがどれくらいかかるのかが、私はわかりにくく感じています。投資信託の月次報告書などを見ても明記されていません。
勘違い委しやすいのは、「為替ヘッジあり」は、管理費(信託報酬込み)が、高いのだろうと思いがちですが、それは違います。同じ投資信託で「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジなし」を選ぶことができる物がありますが、どっちらも、管理費(信託報酬込み)は同じです。
ヘッジコストは、金利差によって変化するので、管理費(信託報酬込み)のように一定ではないようです。米国で考えれば、つぎのような感じのようです。
日米短期金利差(米ドル短期金利ー円の短期金利)+ ベーシススワップ(米ドル調達上乗せ金利)
ベーシススワップはドルの需要で高くなる 0.2~0.5%くらいのイメージ
つまり、円安局面では、金利差が大きい場合が多く、ヘッジコストも高くなり、おまけに円安の為替差益も享受できないという事で、「ヘッジあり」は、踏んだり蹴ったりの状況でメリットは無しというより、大きなデメリットで、ヘッジあり信託を買う意味は無しです。
逆に円高局面では、金利差は縮小していいる場合が多く、ヘッジコストは低くなり、おまけに円高による為替差損をさけられるのでメリットが大きいと考えています。これから、円高に向う事がかなり明確な今こそ、ヘッジ無しを減らして、ヘッジ有をふやしていく事が重要と思います。
私は、ヘッジコストはエイヤで年間2%くらいのコストと考えています。これは、証券会社の方が仰った事です。通常の管理費(信託報酬込み)と比べても結構大きなコストであります。これ以上に為替差損がでると考えた時は、「ヘッジあり」を増やしていくのが有効と考えています。
有望視している投資信託(米異国株関連)
私が有望視している投資信託を紹介します。
・アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Cコース毎月決算型(為替ヘッジあり)予想分配金提示型
純資産総額3770.9億円 管理費(含む信託報酬)1.727% 信託財産保留額0%
ベンチマークは、S&P500株価指数(配当金込み、円ヘッジベース)
S&P500のインデックス投資信託は500銘柄ですが、この投資信託は有望50銘柄ぐらいに絞って運用するアクティブ型の投資信託です。「為替ヘッジなし」のDコースが人気があり、純資産総額は16,545億円です。私も投資の主力銘柄としてDコースを保有しておりますが、円高局面でCコースを購入しました。現在かなりDコースがへこんでしまっているので、少し回復したら、さらに入れ替えも考えています。
・野村インデックスファンド・米国株式配当貴族・為替ヘッジ型
純資産総額 63.6億円 管理費(含む信託報酬)0.55% 信託財産保留額0.1%
S&P 500配当貴族指数(配当込み・円ヘッジ)の動きに連動する投資成果を目指して運用を行う。
最近、ポートフォリオのラインナップに加えました。S&P 500配当貴族指数とは、25年間以上にわたって、連続増配を行うアメリカ合衆国の上場企業、配当貴族のうち、S&P 500に採用される優良大型株のパフォーマンスを測る目的で設計されている指数です。最近は、S&P500より有望というような意見も多く聞きます。
私も最近購入しました。これまでも、SMT 米国株配当貴族インデックス・オープンというS&P500配当貴族指数(税引き後配当込み円換算)連動の投信を保有しておりましたが、これは「為替ヘッジなし」なので、「為替ヘッジあり」を加えたという事です。
・サイバーセキュリティ株式オープン(為替ヘッジあり)
純資産総額669.19億円 管理費(含む信託報酬)1.87% 信託財産保留額0%
アメリカ88.4%(2022/11/10月次レポート)
どちらかというと、グロース系かなと思っておりますが、今の世の中で必ず必要な分野であると思い、「為替ヘッジなし」を保有しております。これを売って、完全に「為替ヘッジあり」に乗り換える予定でしたが、保有中の「為替ヘッジなし」が大きく沈んでしまって、売れずにおります。思案中です。
ちなみに、この投資信託は米国株限定ではありませんが、9割近くが米国なので米国株で考えていいと思っております。
まとめ
現在は円高局面から円安局面への転換点であり、「為替ヘッジあり」の投資信託をうまく活用して、米国株などの投資信託の為替による資産の減少を減らしていくのが大事だと思います。
一つ追記しますが、為替サイクルを超える長期で積み立てを戦略としている方は、為替などあまり気にする必要はないと思います。
この投稿は個人の意見や考えであり、投資成果を保証するものではありません。投資は自己責任になります。